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Genius Party raytrek導入事例Vol.5 <エヌ・シー・ジャパン株式会社>

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ジーニアス・パーティ ビヨンド

廣田裕介氏

『アニマトリックス』『鉄コン筋クリート』など、数々の名作を生み出し続けるSTUDIO4℃の下に、日本のアニメーションが誇る天才たちが集結した。プロジェクト名は『Genius Party <ジーニアス・パーティ>』。
昨年公開され、7月にDVDが発売された第一弾に引き続き、第2弾『Genius Party Beyond <ジーニアス・パーティ・ビヨンド>』が2008年10月11日よりシネマート六本木他で公開が決定した。また新たな世界観の創造に、わくわくが止まらない。
この『Genius Party』『Genius Party Beyond』にドスパラのPCワークステーション『raytrek <レイトレック>』が導入されている。今回は『Genius Party』で『BABY BLUE』(監督:渡辺信一郎)、『Genius Party Beyond』で『MOONDRIVE』(監督:中澤一登)のCGI監督を務めた廣田裕介氏に両作品について、そしてSTUDIO4℃の製作現場の声を集め企画された『raytrek spec. STUDIO4℃』についての話を伺った。

CGI監督について

──CGI(Computer Generated Image)監督という役割について教えていただけますか?

色々とあるのですが主なところで、最終画面を仕上げる、という役割があります。アニメーション制作には様々な工程がありますが、そのひとつにコンポジット(合成)があります。アニメーションは「セル(アニメーション部分)」と「背景(美術)」とが別々に作られ、それらを合成するのですが、そこでフィルタやエフェクトを加味し最終的な画面を仕上げていきます。その工程を取りまとめる役割です。そのため、それ以前の工程の段階から監督と綿密に打合せを行っています。

基本的な指示や最終的な判断はもちろん監督が行ないますが、監督と各コンポジット担当者が打ち合わせられる機会はなかなか無いこともあり、コンポジットの現場を取りまとめる役割として、監督との間に立ってCGI監督が指示やチェックを行なっています。

そのほかに、3DCGのディレクションをはじめとして新規の技術開発やそれらのテストを行なう場合もあります。

アニメーション制作の作業工程について

──アニメーション制作の作業工程を教えていただけますか?

レイアウトから原画、動画が出来上がる段階までは、従来どおり紙に作画しています。そのあとの工程からデジタル作業となります。動画はスキャンして、彩色を行います。また背景に関しても同様で、紙に作画したものをスキャンしデジタル上で調整しますが、最初からデジタルで描かれる方もいます。あとはそれらを合成してムービーにし、最後に編集、というのが大まかな基本的な流れになります。自社ではスキャンに専用のPCを置いて「セルシス Trace Man5.3/ RETAS!Pro」でスキャンしていますが、その後の彩色から合成、それに3DCGの工程をPCワークステーションで作業しています。編集にはAvid DS Nitrisを使用しています。

ワークフロー 原図 背景 調整・加工 3DCGシミュレーション 3DCGシミュレーション 彩色 動画 原画 コンテ レイアウト コンポジット

『BABY BLUE』実際の作業について

──『BABY BLUE』での作業工程を教えていただけますか?

今回は、「Adobe Photoshop7」で彩色を行いました。また3Dソフトには「Softimage|XSi 5.0」を使用しています。美術は3Dに張り込んで用いた部分も有ります。それらをAdobe After Effects 6.5でコンポジットして、という流れです。

道路の背景(左)と原図(右/UV展開図)。

──美術を3Dに張り込むというのは、どういうことですか?

従来のセルアニメーションでは、撮影(合成)のカメラワークは平面的な動きしか出来なかったのですが、3Dが使えるようになってからは3次元的なカメラワークをつけられるようになりました。美術を3D空間に貼り込む事で、元々は平面である絵が、3D上でカメラを動かすことで立体的に見せることができるようになる、というわけです。

例えば主人公が警官に追いかけられるシーンがありますが、背景は3Dに貼り込んでいます。ただし道路だけは、そのカメラの状態で描かれているのではなく、道路を真上から見た状態で描いてもらったものを別の視点から張り込んでいます。道路に関してはカメラに対して引いている状態からぐっと寄る状態まで持っていくことになりますので、カメラからの角度で描いたものだと、動いているうちにディティールが抜けてしまうというか、絵が足りなくなってしまうんです。開いた状態、プラモデルじゃないですが、組み立てる前の状態で描いてもらって後で組み立てる、そうすることで自由が多くなるということですね。

BABY BLUE

──『BABY BLUE』のCGI監督を務めるにあたり、気を使われた部分はどのようなところでしょうか?

とてもセンシティブな内容ですので、それらを活かす画面作り、そして決して邪魔をしない画面作りを心がけました。技術に邁進しすぎたり奇抜な表現があるとどうしてもそちらに意識が行ってしまいがちです。ストーリーに素直に入り込んでもらうため、3Dも含めてそのあたりには気をつかっています。

──では、先の道路でもアニメーションと合成するにあたり苦労が多かったのでは無いでしょうか?

いや、でも、速いんで(笑)。背景はかなりのスピードですし、カメラワークもシンプルですから。そういえば高速道路の高架も3D貼りこみを使っています。

──それは気が付きませんでした。

暗いシーンですが、よく見ていただければ分かると思います。また、車や電車も3Dですが、セルに合わせた表現にしています。

BABY BLUE

──写実的な美術が印象的ですね。

そこは渡辺監督の今回の試みのひとつでもあります。写実を突き詰めると写真になってしまいますが、アニメーションという表現の中でのリアルを追求した絵になっていると思います。また、コンポジット時にレンズを通したような画面になるよう、被写界深度を意識した作業を組み入れました。このために今回はLenscareというAfter Effectsのプラグインを用いて、ピンボケや被写界深度をシミュレートしています。

被写界深度を意識した画像処理

『MOONDRIVE』に関して

新作『MOONDRIVE』

──新作の『MOONDRIVE』ですが、概説をお願いできますか?

『MOONDRIVE』もロードムービーです。主人公のグループがトレジャーハンター、宝探しを生業にしているグループで、彼らが宝探しに出かける。大雑把な説明ではありますがそのようなお話です。コミカルな作品だと思います。

──『BABY BLUE』と利用しているアプリケーションが変わった部分はありましたか?

PhotoshopがCS3になりました。あとAfterEffectsは6.5のままでしたが、Softimage|XSIは最終的に6.0を使用していました。

──PhotoshopがCS3になって、何か作業に変化はありましたか?

ツールの使いどころとしてはほぼ同じですね。ただ、新機能でもAfterEffects6.5に対応できない部分があるので、そちらはやむなくAfterEffectsの機能に沿う作り方をする必要がありました。

──まだトレイラーで拝見しただけで声も入っていなかったのですが、笑える映画、、、ですよね?

そうですね。先日ケネディセンターで上映したときには、アメリカの観客の皆さんは大爆笑していました。日本ではまた違った反応があると思いますので楽しみです。

とにかく、テンポが速いです。今はまだ監督自身の取材もほとんどされていないと思うので僕の方から色々と言うことはできないのですが、とにかく軽快な作品になっていると思います。あまり言えなくてすみません・・・。

──では公開を楽しみにして、後にまた伺います(笑)。

『raytrek spec. STUDIO4℃』に関して

raytrek spec. STUDIO4℃

──ところで前回は完成直前からでしたが、この作品から本格的に『raytrek spec. STUDIO4℃』を導入していただきました。

まったく助かりました。とにかく快適になりました。

AfterEffects 作業画面

──どのような改善が見られましたか?

私たちはその役割から、Adobe After Effectsを多用しますが、そのプレビューが劇的に早くなりました。プレビューが早いということは、それだけ作業の先が見越しやすくなる、作業の能率に直結します。

また、Softimage|XSIにおいても従来は開くことも苦労していたファイルが当たり前のように開く、そのために、よりそこに絵を詰め込めるようになりました。

ファームが他で使われているときにレンダリングをさせることもありますが、レンダリング中でもそのマシンが使えるというのは助かっています。

──静かさはどうですか?

静かですよね。改めて言われるまで意識しない程ですね。

──我々の提案の狙い通りの成果を出していただいており、ありがとうございます。

アニメーション・クリエイターを目指す人たちに

STUDIO4℃

──個人的な事になりますが、今までの経歴を教えていただけますか?

御茶ノ水のデジタルハリウッドに1年間通った後、そこで暫く講師補助の仕事を経て、2001年にSTUDIO4℃へ入社しました。

──今まで関わってこられた代表的な作品を教えていただけますか?

入社後すぐにフジテレビの『ピロッポ』(監督:石井克人)というアイボのアニメーションのCGIを担当しました。その後すぐに『アニマトリックス』の『ビヨンド』(監督:森本晃司)のCGIを担当しました。

──2001年入社ということは、当時のコンピュータはCGを作るというには今と比較して随分非力だったと思うのですが、当時からCGI監督として関わってこられたのですね。

やっていることは当時からそれほどは変わっていないと思うのですが、今思うと良くやっていたなと感じます。当時は当時で色々と工夫していたのだと思いますが。『ビヨンド』は劇場用のHDサイズでしたし。特に当時はPC上でのコンポジットのプレビューが出来ず、一度編集機に取り込んでからチェック、またPCに戻って・・・、という過程を踏む必要がありました。今はそこを初め、様々なタイムロスがなくなりましたので、作業工程という意味では違ったものになりましたね。

──仕事の面白いこと、抽象的ですが、お願いできますか?

全部面白いですが、特に3Dを作ったり、画面を作っていったり、ゼロから絵を描いたり・・・、つまりは全部面白いのですが(笑)、コンポジットという作業はすでに用意されたものに色々と手を加えて画面を仕上げていくという作業で、一方3Dでモノを作ったり動かしたりするのはとても創造的な作業ですし、それぞれ違った面白さがあります。それに、アニメーションは1カット1カットごとに作りますし、様々な工程を経て制作されるものなので、全部つながって改めて見たときの達成感は言葉では表現しがたいです。

──丁度この記事が公開されるのは新生活直前の時期ですが、学生の方、学校へ行こうとされている方にメッセージをお願いします。

まず、学生の間に作りたいモノをたくさん作ってください。STUDIO4℃のCGスタッフは、他社では専業になっている部分でも掛け持ちをしていたり、一人の仕事が多岐に渡っていることが多いので、大変ですが楽しいですよ。また、今後は3DCGのアニメーション制作が増えていくと思いますので、3Dアニメーションのスキルが重要になってくると思います。

──ありがとうございました。『Genius Party』のDVD発売と『Genius Party Beyond』の公開を楽しみにしています。


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