365日、毎日出荷!!最短当日出荷のパソコン通販 ドスパラ

インタビューCEDEC(Computer Entertainment Developers Conference) 植原一充氏

CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)
 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催により、2016年8月24日から3日間に渡ってパシフィコ横浜(横浜市)で開催される「CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference) 2016」。日本最大級のコンピュータエンターテインメント開発者向けとして広く知られる本カンファレンスでは、エンジニアリングとプロダクション、ビジュアルアーツ、ゲームデザイン、サウンド、ビジネス&プロデュースなど多くの分野をテーマとして網羅し、多種多様なセッションが繰り広げられます。プロの現場で働くデベロッパーはもちろん、開発者を目指す若者にとっても、最新の技術トレンドを余すことなく知ることができる大変貴重な場といえるでしょう。
そんなCEDECの屋台骨を支える大黒柱が、2014年から運営委員会委員長を務める植原一充氏です。1994年に大手ゲーム会社に就職した植原氏は、家庭用ゲーム開発部門にプログラマーとして配属。日本ゲーム界を代表する大作シリーズのメインプログラムを筆頭に、社内共通ライブラリ制作や技術情報の共有業務を担当するR&D部署のマネージャー職などを歴任。現在は、株式会社バンダイナムコエンターテインメントに在籍し、ネットワーク統括部の部長として精力的に業務をこなすなど、CEDEC委員長の顔を持つと同時に、常に開発の最前線にこだわり続ける筋金入りのデベロッパーでもあります。
今回は、そんな日本ゲーム界の隆盛を開発の第一線から体感してきた植原氏に、CEDECの見どころや今後の展望、注目トレンドなどについて話を伺いました。
  • 植原一充 氏

委員長・植原氏が語るゲーム開発との出会いとCEDEC創設秘話に

植原さん自身がゲーム業界に志すことになった経緯を教えてください。

  • 植原氏
  • 同世代のプログラマーの例にもれず、私も子供時代はいわゆる「マイコン少年」でした。小学校高学年の頃、自宅近くにマイコンショップがありまして、そこでマイコンを触っているうちにプログラムに興味が湧いてきて、図書館で参考書を借りて、見よう見まねでコードを書いたりしていました。
    そうこうしているうちに自分のなかでプログラム熱がいっそう盛り上がってきて、高校の頃になると電波新聞社さんの『マイコンBASICマガジン』(1982年創刊)や『月刊マイコン』(1977年創刊)も読み漁ったりしました。そんな折、運良くモニター懸賞に当選して、念願のパソコンを手に入れることができたんです。そこで、高校のクラブで先輩達とプログラムを始めたところ、これが面白くてますます味をしめてしまいました。
    その後は、大学のコンピュータサークルに入って、アルバイトで始めたのがシャープの『X68000』向けグラフィックツールの開発だったんです。その流れでゲーム開発にも手を染めて、やっぱりそれが楽しくて……。実をいえば、大学院に進学したいという気持ちもあったのですが、仕事としてゲーム開発をしたいという気持ちのほうが勝って、大学卒業後、思い切ってゲーム会社に就職したんです。

1999年の初開催から、今年でCEDECは18年目を迎えました。
当初は何を目的に開催されたのでしょうか。

植原氏
  • 植原氏
  • 私自身はCEDEC立ち上げ時のメンバーではないので、これは人づてに聞いた話になりますが、当初は東京ゲームショウに併設するかたちで、ゲーム開発者向けのイベントをやろうということで始まったということです。
    なぜそういう話が持ち上がったかというと、北米にはすでに「GDC(Game Developers Conference)」というゲーム開発者向けの一大カンファレンスがありました。こちらは30年以上もの歴史があるうえ、現在も非常に人気があって参加者たちの熱気も物凄いんです。その頃GDCに参加した方たちから、日本にも開発者が切磋琢磨できるようなGDCに負けないイベントは絶対に必要だという声が上がって、CEDECが誕生することになったんです。

植原さん自身は、いつ頃からCEDECに参加されるようになったのでしょうか。

  • 植原氏
  • 2006年末頃からです。当時、会社の前任者がどうしても都合が悪くて参加できなかったため、代わりに私が行くことになったという感じですね。だから、実をいうとCEDECとの出会いはわりと偶然だったんです。

当時のCEDECは、現在と比べてどのような雰囲気でしたか。

  • 植原氏
  • 現在よりも、やや小規模だったかもしれませんね。それでも来場者数は1400人ほどもいましたし、ゲーム開発者向けの国内イベントとしてはかなりの規模だったことは間違いありません。
    ただ、その頃は開催場所が大学構内だったり、公募セッションもあまり集まらなくて委員会の人脈で講演者を招いたりなど、なかなか苦労する面も多かったかと思います。

現在のCEDECにつながる転機は、いつ頃に訪れたと思いますか。

  • 植原氏
  • 当時もゲーム開発者向けのカンファレンスとしては大変質の高い内容ではありましたが、運営メンバーのあいだでは、さらにCEDECを世界に誇れる一大イベントへと発展させたいという気持ちもあったのも確かです。
    そこで、2009年からは会場をよりアクセスのしやすい「パシフィコ横浜」へ移転したほか、セッションの一般公募も本格的に開始するなど、多数の改革を実行しました。その結果、「CEDEC 2009」では来場者も2661人と一気に跳ね上がり、これが日本最大級の開発者向けカンファレンスとして発展していく大きな転換期になったと思います。
植原氏インタビュー写真

開発者必見の注目セッションばかりを多数揃えるCEDECの秘密

コンピュータエンターテインメント開発において、CEDECはどのような役割を果たしているとお考えでしょうか。

  • 植原氏
  • かつて日本のゲーム業界は情報共有に閉鎖的な時期もありましたが、アーケードゲームから家庭用ゲーム機に主軸が移ったことで、メーカーのあいだではハードではなくソフトウエアの内容で勝負するという考え方が主流となりました。しかし、3Dグラフィックや通信機能など、矢継ぎ早に登場する新たなテクノロジーに対応すべく、開発内容も急激に高度化していったことで、ソフトウエアやヴィジュアルなどをゼロから作り上げるのは非常に困難になっていきました。そうした流れからしても、これまでつながりを持たなかった開発者同士を結びつけて、なんらかの形で協力し合える場を作り上げる必要があったんです。
    こうした経緯を背景に、CEDECでは、ゲーム業界だけに留まらず、デジタルエンターテインメント分野を網羅する多彩なセッションに加え、開発者同士で情報共有できる場なども提供しています。CEDECで得た知見は将来の開発を後押しする原動力となって、ひいては日本のゲーム業界における技術的な発展にも貢献してくれるものと自負しています。

一般公募セッションは、どのように審査しているのでしょうか。

  • 植原氏
  • 一般公募セッションの締め切りは、例年3月いっぱいまでです。一次審査では応募者のネームバリューによって主観が入らないように名前を伏せた状態にしたうえで、運営委員会のプログラムワーキンググループが採点を実施します。
    その後は、2日間を掛けてセッションの最終審査を行っていくのですが……これが通称「地獄の審査合宿」といわれるほどの過酷な内容でして(笑)。委員会のメンバーは昼13時から夜22時まで、さらに翌日午前中いっぱいと、ほぼ丸一日かけてみっちりと応募書類を徹底的に精査します。この審査合宿を経て、一般公募セッションの合否はあらかた決まることになります。

今回、採択されたセッションはどのような傾向がありましたか。

  • 植原氏
  • 例年とさほど大きく変わることはありませんが、やはり「VR(Virtual Reality)」の影響はありますね。過去に比べて、VR関連のセッションは増えていると思います。 ただ、VR一色かというとそういうわけでもなくて、例えば、自社のゲームエンジンに関する非常にコアなセッションであったり、人工知能系の講演だったり、今年も非常にバラエティーに富んだ内容が集まりました。そういう意味では、非常に興味深いことですが、回を重ねるごとにセッションのバリエーションが拡大していると感じています。
植原氏インタビュー写真

近年はセッション数も増え、来場者数も累計3万人を超えるなど、CEDECは名実ともに日本最大級のゲーム開発者向けカンファレンスへと成長しました。これで、当初の目的は達成したということになるのでしょうか。

  • 植原氏
  • CEDECでは、「すべての開発者が切磋琢磨し、よりよいモノを作り上げていく」ということをひとつの目標としています。ですので、胸を張ってすべての開発者に浸透することができたかというと、まだ道半ばといったところでしょうか。
    ただし、会場のキャパシティーとしては、これは「目標達成しました!」と自信を持って言いたいですね(笑)。おかげさまで現在、会場として利用しているパシフィコ横浜は、ほぼキャパシティーいっぱいの状態まで参加者が来場するようになりました。
    会期の延長も要望としていただいていますが、現在の3日間以上となると、講演者や参加者の方々の日程的な都合もありますし、現実的にはなかなか難しいところではあります。もちろん、より良いカンファレンスとして皆さんにご満足いただけるよう、これからも様々なご意見に耳を傾けていきたいと考えております。

ゲーム開発に大変革をもたらす「VR元年」がついに到来!

CEDEC 2016では「Now is the Time !」をテーマとして謳い、植原委員長も「今年はVR元年で開発者が一番面白い時期になる」と話しておられますね。

  • 植原氏
  • CEDECでも、ここ2,3年でVRに関するセッションは確実に増えてきています。しかし、VR自体はことさら新しいテクノロジーではなく、世界的にはすでに何度かのブームを経てきています。それに、現在、市場に出始めた民生向けのVR機器もいまだ第一世代というべきもので、ようやく広く一般に普及する初めの一歩を踏み出したところでしょう。ただし、この「一歩目を踏み出した」という実績こそが非常に大事で、開発者たちが実際にVR機器に触れる機会を得たことで実に色々なことがわかってきたんです。
    なかでも重要な点は、VRから得られる体験は、これまでの2Dコンテンツで置き換えられるようなものではないということです。例えば、三人称視点のRPGを単にVRに置き換えただけでは、操作のしにくさもさることながら、映像酔いをする可能性も高いですし、とてもゲームとして楽しむことはできません。こうした認識は開発者のあいだでも徐々に浸透しており、結果、VRゲームは、これまでとはまったく違った発想で作る必要があるという知見が徐々にたまってきていると強く感じます。

CEDECでは、具体的にVRに対してどのように取り組んでいますか。

  • 植原氏
  • もしかしたらVRが本格的に浸透するには、いまだ不足している点が多くあるのかもしれません。例えば、VRコンテンツが花開くには、現在のような「HMD(Head Mounted Display)」だけのスタイルでなく、指先の動きも正確にトレースできるような入力機器も必要という可能性もあるでしょう。そうした意味では「VR元年」とはいいつつも、現在はあくまで「元年」に過ぎず、ようやく始まりを迎えた段階といえます。
    しかし、始まったばかりだからといって無視するというのは開発者としてもったいないですし、むしろ積極的に新たな表現手法であるVRを学んで、新しいモノを作っていくことこそが、開発者に求められる当然の資質であるはずです。だからこそ、CEDEC 2016ではテーマの「Now is the Time !」を全面的に打ち出して、VRはもちろん、いまだ進化途中の人工知能などに関するセッションも多数提供し、開発者が新しい技術に取り組むきっかけをふんだんに提供していこうと考えているんです。

VRをエンタテインメント・プラットフォームとしてとらえた場合、今後どのように発展すると思いますか。

  • 植原氏
  • あくまで個人的な見解になりますが、VRはアーケードゲームやテーマパークなどの「箱モノ系ビジネス」と非常に相性がいいと考えています。例えば、バンダイナムコゲームスでは、東京お台場・ダイバーシティ東京プラザにVR体験施設として『VR ZONE Project i Can』(2016年10月中旬までの期間限定)をオープンし、おかげさまで来場者の皆さまかも非常に好評を得ています。こうした箱モノであれば、VRを楽しむ際にネックになりがちな遊戯スペースも気にする必要もありませんから、のびのびとVRを満喫してもらえているのだと思います。
    一方、家庭向けにVRが浸透するには、やはりソフトウエアの充実が急務であると考えています。一般向けのエンターテインメント作品はもちろんのこと、コミュニケーション用途や、ショウルーム的要素など、多様なニーズが今後出てくると思います。こうした幅広いラインナップをいかに揃えていくかということがメーカーや開発者に課せられた当面の課題であると思います。

VR元年に開発者に求められるものがあるとすれば何でしょうか。

  • 植原氏
  • どんな分野であれ開発者というものは、常に新しい技術に取り組むことが求められるものです。ですから、新しい表現手段であるVRに対して、食わず嫌いになることは避けてもらいたいですね。VRをしっかり理解して開発を進めるためにも、まずは学ぶところから始めてほしいです。そうした学びの場のひとつとして、ぜひともCEDECをフル活用してもらえると非常にうれしく思います。
植原氏インタビュー写真
大学卒業後、ゲーム業界に入社したのち、開発畑一筋に歩んできたCEDEC運営委員会委員長の植原氏。開発に対する愛情は今なお衰えることなく、実はCEDECの運営用サイトも時折ご自身でメンテナンスされることもあるとか。
さらに、大手ゲーム会社でメインプログラマーとして長く最前線に立ってきた経験から、CEDECで得た最先端テクノロジーの知見を今後の開発に活かしてゲーム業界の発展に役立ててほしいという言葉が実に印象的でした。植原氏の強い意気込みからも、今回のCEDECでも、VRや人工知能など最新技術に関する注目セッションを多数楽しめそうです。

ページTOPへ

※ Microsoft 、Windows は、米国Microsoft Corporation の米国及びその他の国における商標または登録商標です。
※その他のすべての商標は、それぞれの所有者に帰属します。